「お客様。ちょっと落ち着いて下さい」
イケメン店員さんも慌てて止めてくれた。
しかし、やめようとしない安西さんは、強く腕を握り絞めてきた。
痛いし嫌だっ!!課長……助けて。
泣きたくなったその時だった。
ガツッと強引に引っ張ってくる安西さんの腕を誰かが掴まえてきた。えっ……?
あっという間に私は、その人に抱き締められ安西さんは、思いっきり突き飛ばされた。唖然していると……。
「まったく、目を離した隙に危ない目に遭ってんだ?お前は……」
その声は……!?
抱き締めてきた人の顔を見ると不知火課長だった。
私は、名前を呼ぼうとしたら顔を胸に押し付けられる。く、苦しい。
「な、何だ!?お前は……?」
安西さんは、驚いて怒鳴りつけてきた。
すると課長は、ドスの利いた声で睨みつける。
「話は、そこで聞いた。
貴様……よくも俺の女に好き勝手やってくれたみたいだな?」
えっ……?課長?
「す、好き勝手って……それは……この女が」
「コイツは、痴話喧嘩の腹いせに婚活パーティーに参加しただけだ。
だが、そんなのは、この際どうでもいい。
貴様が俺の女にした侮辱と泣かしたことを一生後悔させてやる。
もちろん覚悟は、出来ているんだろうな……?」
ギロッとさらに安西さんを睨みつけた。
それは……もう、どこかのヤクザの親分も顔負けするような怖かった。
いや、ヤクザの親分そのものしか見えなかった。
「ひぃっ……た、助けて!!」
安西さんは、真っ青になりながら慌てて逃げ出してしまった。
店内は、シーンと静まり返る。
意味が分からなかったけど助かったの……?