「はい。お待ちしていました♡」

 あぁ、やっぱり間近で見るとカッコいいわ。
私は、目がハートマークになるぐらい見惚れる。
 イケメン店員さんは、ニコッと微笑むと頭を下げて行ってしまう。
 あぁ、行っちゃう。行かないで……。

「お前は……」

えっ……?
 さらに呆れたようにため息を吐かれた。
だから何でため息を吐くのよ?失礼しちゃう。
 それから前菜を食べてもその後にスープや魚料理などが出て来ても課長の機嫌は、悪いままだった。

 だから何でそんなに機嫌悪くなるのよ?
まるで私だけが悪いみたいじゃない。
 ここまで機嫌悪くされるとこちらも気分が悪い。
まったく話そうともしないし……。
 こちらの席だけ異様な雰囲気になってしまった。

ジッと課長の食べ方を見る。
 さすが課長と言わんばかりの姿勢がよく綺麗な食べ方だ。
 しかし、さっきからワインの飲むペースが多くないかしら?いくらこのワインが美味しくても。
 あれ……?でも今日って確か。

「課長。今日車で来てるのにワイン飲んでて大丈夫なんですか?飲酒運転になりますよ」

 いくらお酒が好きでも飲酒運転は、まずい。
課長ならそれぐらい分かっていると思っていたのだが?
 すると食べていた手がピタッと止まった。

「……それぐらい分かっている。
今日は、このまま泊まるつもりでいるから平気だ」

……へぇ~そうなんだ?
 うん?だとしたら私は、どうしたらいいのかしら?
車で連れて来られたけど、ここから1人で帰れってこと!?
 えーそんなの嫌だわ。タクシー代だって馬鹿にならないのに。

「あの……私は、どうしたら?」

「その事なんだが……」

すると課長が何かを言おうとした。だが
 「食べ終わったお皿、お下げしますね」とあのイケメン店員さんが声をかけてきた。

「はい。どんどん下げて下さい♡
なんなら、私も一緒に下げて……」