「綺麗……」

 思わず口に出してしまう。
すると課長がギロッとこちらを見てきた。
 えっ……何で睨むのよ?

「当たり前だ。最上階のホテルなんだから
他の輩ばかり見ているから気づくのに遅れるんだぞ」

 チクリと嫌味を言ってきた。しかも不機嫌そうに……。
 何よ、そこまで不機嫌に当たらなくてもいいじゃない。
そりゃあ、イケメンに気を取られてまともに景色なんて見てなかったけど……。

「課長……不機嫌そうですね?」

「誰のせいで不機嫌になっていると思ってんだ」

 バッサリと言われてしまう。
えっ?やっぱり私のせいなの!?何で……?
 もしかして登山の事で?
そりゃあ不注意で怪我をしてしまったけど……。

「私……もしかして今日の登山の事で怒って居るんですか?」

「……お前のそのめでたい頭にだ!」

はい!?何よ……それ?
 意味分からないし納得がいかないけど、これ以上怒らすのが怖い。無難に謝って終わらせよう。

「……申し訳ありませんでした」

 そうしたら、また大きなため息を吐かれた。
えっ?もしかしなくても呆れられた!?
 すると課長は、ボソッと
「どうも……お前が絡むと調子が狂う」と呟いていた。

 調子が狂うって……どういう意味ですか!?
呆れ過ぎて話しにならないという意味ですか?
 それとも別にあるの?
困惑していると、あのイケメン店員さんが前菜を持ってきた。

「お待たせしました。前菜でございます」