私は、慌てて返事をすると課長の所に行く。
ひぃぃっ……怖い。
結局、意味が分からないままホテルの中に。
するとホテルの中で衣装がレンタル出来る店舗に連れて行かれる。
そこで何故かワンピを着替えさせられた。
髪型やメイクまで店員さんの指示に従いやってもらった。
「うわぁ~素敵」
こんなにお洒落をしたのは、いつぶりだろう?
メイクや髪型のお陰か、いつもと違う私でドキドキする。
普段は、安物で適当に済ましていたし、お店だとスーツばかりだったから……。
「お似合いですよ。お客様。
さすが旦那様が見立てただけの事はあります」
褒めて下さる店員さん。うん?
旦那様じゃないし……いや、それよりも課長が見立てた!?
よく分からない言葉が出てきた。えっ……?
「あの……どういう事ですか?」
「はい。旦那様が前日こちらに予約をした時に、このワンピースをお選び頂きました。
奥様へのサプライズ・プレゼントだったんですね?
素敵な旦那様ですね」
ニコニコしながらそう言われた。
か、課長が私のために!?う、嘘……何で?
予約していたみたいだし、だとしたらここに来るのは、前から予定していたってことよね?
反省会じゃないの?
意味が分からないけど、思いがけないサプライズに心臓がドキドキする。
支度が終わると課長も同じく支度が終わったみたいでスーツ姿になっていた。いつもの課長だわ。
「あの……お待たせしました」
恐る恐る課長の所に行くとジッと見つめられる。
いや、睨まれていると言った方が正しいのだろうか。
しかも一言も話さず無言だ。
「あの……不知火課長?」
「うむ。馬子にも衣装と言うのは、こういう事なんだな」
フイッと目線を逸らされた。はい!?
課長……それは、どういう意味ですか!?
これなら、まともに見えるとでも言いたいのだろうか。
「まぁいい、行くぞ!予約時間が迫っている」