「ほう。それは……一口貰おうか。
うむ。これは、かなり旨いな。
どうやって作ったんだ?隠し味とかあるのか?」
「これは、ですねぇ~」
課長にカラアゲを美味しく作るコツを教えてあげた。
そしてハッと気づく。
私が課長といい雰囲気になってどうするのよ!?
ダメよ、ダメ。そんなの有りえないじゃない!
課長は、あくまでも課長。しかも元だし
イケメンでもない人にときめくとか有りえない。
しっかりしなさい私。
私の好きな男性は、イケメンあるのみ。
ヤクザ顔の課長なんて論外なのよ!
自分でも何度も言い聞かした。とにかく、関わらないようにしよう。
だが下山をする時は、また課長におぶられること。
何とも情けないやら……。
距離をおきたい相手におぶられる、この微妙な感覚。
何とも複雑だわ。
「あの……度々すみません。課長」
「……悪い思うのなら、もう少し落ち着く事だな。
お前は、どうも1つに事に気を取られると周りを見ようともしない。悪い癖だ」
「……ごもっともです」
ぐぅも出ないぐらい正論だわ。分かっているんです。
自分の悪い癖ぐらい。ただなかなか治らなくて……。
イケメンなんか見た日なんて、その方に夢中になっちゃうぐらいですから。
トホホと思いながら課長の背中で落ち込んでいた。
「おい、宮下。これが終わったら今日の分の反省会をするぞ。予定は、大丈夫だよな?」
するとそう発言をしてきた。はい?
えっ?また課長と食事をしないといけないの!?
まだ何で毎回毎回……。
「あの……それは……」
「まさか、断ったりしないよな?
これだけ俺に迷惑をかけておいて反省会すらしないとか
そんな中途半端な奴じゃないよな?宮下は」
ひ、ひぃぃっ……!!
殺される……断ったら間違いなく酷い目に遭う。
あまりの黒いオーラ?に断る事すら許されなかった。
怖いのよ……課長。