「いや。それだけは、取り損ねてな。
取りたいと思うのだが、なかなか時間と暇がなくて
いつかは、取りたいと思って勉強はしている。
だから、きちんと取って経営までやっているお前が凄いと思ってな。ぜひその姿を見たいものだ」
急に褒められるので心臓が大きく高鳴った。
まさか、また褒められるなんて思わなかったから戸惑ってしまう。しかし、見るとなると……。
「それは……」
そ、それは……さすがに出来ないけどね。
「何故だ?まだ改造していると言ってもそう長くならないだろう?
日付を教えてくれたらそれまで待つぞ」
「また、決まり次第、課長をお誘い致しますので……」
先伸ばしにしたけど課長は、どうしても私の経営している喫茶店に興味があるらしい。
課長にうるさく言われる前にどうにかして遠ざけられないものか?うーん。
「あ、時間がない、宮下。さっさと飯を食え。
下山する時間になってしまう」
「は、はい」
すると課長は、腕時計を見ながらそう言ってきた。
話が逸れて助かった……。しかし間に合わない。
慌てて弁当を食べようとした。
「痛っ!!」
だが擦りむいた手が箸に触れて痛かった。
箸を落としてしまい転がる。
あぁ、これだと食べにくい……どうしよう。
戸惑っていると課長がため息を吐いてきた。
「まったく。怪我してるのに慌てて持つからだ。
ほら、食べさせてやるからさっさと食え」
そう言うと箸をこちらに向けてくる。
えっ!?食べさせてくれるって……ちょっと待って。
さすがにそれは、恥ずかしい。
「えっ?あの……それは、申し訳ないかと……」