「えっ?ですが…この状態ですと…」
スタッフの人が困惑していた。もちろん私もだ。
いやいや、無理でしょう?どう考えても。
しかし課長は、自分のリュックを取ると私に差し出してきた。えっ?リュック……?
「ちょっとリュックを持っていろ」
「は、はい?」
意味が分からずにそのリュックを受け取る。
そうしたら課長は、背中を向けるとしゃがみ込んできた。
「ほら、背負ってやるから乗れ。
俺がお前を頂上までおぶって連れて行ってやる」
そう言いながら……。はぁっ!?課長が、私をおぶって?
いやいや、有りえませんから!!
いくら何でも恥ずかしいし、失礼だし……。
「そういう訳には……」
「さっさと乗れ。そうじゃなくても、もたもたしているせいで時間が大幅にずれているんだぞ!」
「は、はい」
あまりの怖さに慌てて背中に乗った。
課長は、乗ったのを確認するとグッと力を入れて立ち上がる。
「くっ……やはりリュック付きだと重いな」
そりゃあ、そうですよ!?
私、そこまで軽くありませんし……絶対に重いに決まっている。
それプラス荷物ですよ?重量オーバーですって
「あの…申し訳ないですし、おりましょうか?」