そして数日後。私と課長の結婚式を行われる事になった。
 選んだウェディングドレスを着て、父親と一緒にバージンロードを歩いた。
 少しずつ歩くたびに結婚するのだと実感していく。

 向かっている先には、白いタキシードを着た課長が立っていた。結婚するまで色々あった。
 あんなにイケメンしか興味がなかった私なのに。
課長に会ったのは、ただの偶然だったとは思えない。

 もしかしたら、どこかでそうなるようになっていたのかもしれない。まるで運命のように。
 課長のお陰でいろんな自分を知った。改めて考えさせられた。

 課長に好きになれた事は、私にとって今だと大切な宝物だ。
 出会えたことも、怖いと思いつつも一緒に婚活に励んだことも、どれも大切な宝物。

 近くまで来る父親から課長の所に歩いて行く。
チラッと父親を見ると少し涙ぐんでいた。
 ありがとう……お父さん。
前を向き直すと課長は、微笑んでくれた。

 あんなに怖いと思っていた課長の容姿なのに、今だと明るい光のせいかキラキラして眩しい。
 カッコよく思えてくる。不思議だ。

 課長の手を取り歩き終わると隣に並んだ。
神父が一言一言誓いの言葉を言ってきた。
 心臓がドキドキ高鳴ってうるさい。

 「はい」と誓いの言葉を言うたびに、緊張で声が裏返りそうになった。そして指輪の交換。
 手が震えて上手く課長の指にはめられない。
あれ?どうしよう……。

「宮下。慌てなくていいから落ち着け」

「は、はい」

 ボソッと課長に注意をされてしまう。
落ち着け……自分。そっとやるのよ!
 だが、カランと手から落ちて転がってしまった。
あぁっ……!?
 周りは、微妙な空気になって静まり返る。
ど、どうしよう!?

「宮下。お前……何をやっているんだ?」

ひぃぃ……っ!!
課長の低い声を聞いて思わず身体が震え上がる。

「す、すみません。急いで拾います!」

 慌てて指輪を拾おうとする。
だが、慌てて拾おうとしたので足がドレスの裾を踏んでしまう。