「すみません。色々集めていたら、こうなってしまいました」

 うわぁ~恥ずかしい。オタク丸出しの部屋だ。
でもでも、癒されるのよ?
仕事で疲れた時にこの部屋に囲まれていると。
 この抱き枕なんてギュッと抱き締めてながら寝たら、いい夢を見られそうな気がするの。

「……そうか。お前の趣味がよく分かる部屋だな」

 課長は、他に何か言い出そうにボソッと呟いた。
しかしその表情は、少し悲しげな雰囲気でもあった。
 課長……どうしたのだろうか?

「あの……落ち着かないと思いますが座って下さい。
今コーヒーでも淹れますね」

 私は、慌てて言いキッチンに向かった。
とにかく何とか場を和ませよう……。
  温かいコーヒーを飲んでもらおうと支度する。
お湯を沸かしながらチラッと見ると課長は、徐に小さなテーブルのそばに座った。
 やっぱり背中が何だか寂しそうに思える。

 様子がおかしいけど、何かあったのだろうか?
気になりながらもコーヒーを淹れ終わると課長の所に持って行く。

「どうぞ」

「うむ。すまないな」

 課長は、マグカップを手に取るとコーヒーを一口飲んだ。
 そしてハァッ……と深いため息を吐いた。
その後に真剣な表情で私を見てきた。

「大事な話の事なんだが……宮下。
今回の結婚式を……取り止めないか?」

「えっ……?」

 突然の言葉に私は、言葉を失った。
何かの聞き間違いだろうか……?
いや、でも。確かに結婚を取り止めようって……。

「な、何でですか!?」

 まさか課長の口からそんな言葉を言われるなんて思わなかったから動揺してしまう。
 私……また課長に対して何かやらかしてしまったのだろうか!? あ、まさか……!!