するとひょこっと裕太君が顔を出してきた。
「お祖母ちゃん、菜々子さん。俺も手伝うよ!」と言いながら……。
「あら、裕太。ありがとう……いいのよ?
座って待ってても?」
「座っててもつまらないもん。
父さん達……晩酌を始めちゃったし」
チェッとつまらなそうな表情をする裕太君だった。
その表情もイケメンよね。可愛い……。
あれ?そういえば……裕太君のお母さんは?
同居をしているなら居てもおかしくないのに、さっきから姿が見えなかった。仕事だろうか……?
「そういえば、裕太君。お母さんは?
さっきから見えていないみたいだけど……」
すると裕太君は、天ぷらをつまみながら
「うん?俺、母さん居ないですよ。
小さい頃に病気で亡くなったから」と言ってきた。
……えっ?そうなの!?
それは、悪い事を聞いてしまったわ。
いくら知らなくても言わずに察するべきだったと後悔する。
「ご、ごめんなさい。知らなくて……」
「あぁ、いいですよ。小さかったからほとんど記憶にないですから。
その分、誠叔父さんに遊んでもらってたから平気です」
ニコッと笑顔を見せてくれる。そうなの……?
「フフッ……この子ったら本当、叔父さんっ子なのよ。
小さい頃から父親の陸よりもベッタリだったから
まるで父親が2人居るみたいなのよ」
「えーそれだとまるで俺が甘えん坊みたいじゃん。
叔父さんは、色々と知ってたから教えてもらうのが楽しかっただけだし」
クスクスと笑うお母様に恥ずかしそうに頬を染めていた。
恥ずかしがる裕太君が食べたくなるぐらい可愛いらしい。ごちそうさまです!
しかし、その話を聞くと昔の課長と裕太君に会ってみたくなった。
裕太君は、絶対に小さい頃も可愛かっただろう。
それに、ちゃんと……いい叔父さんをやっているんだ?課長は……。
「母さん。お酒が無くなったからもう一本つけてくれる?あ、裕太。こんな所に居たのか?」
するとお兄様まで顔を出してきた。お、お兄様!?
近くで見るとやっぱり凄いイケメン。
これでシングルファザーだなんて奇跡だろう。