「裕太のバイト先……だと?」
「あら、そうだったの?
菜々子さんと孫が知り合いだったなんて驚きね」
驚く課長に対してひょっこりとお母様が顔を出してくる。
絶体絶命。もう言い逃れが出来なくなっていた。
これは、全て話すしかないのか……。
「はい。実は……そうなんです」
「そういえば、裕太のバイト先って喫茶店って言っていたな?
裕太、どんな所なんだ?」
「従業員が全員イケメンばかりなんだよ!」
課長は、わざわざ裕太君に聞いてしまう。
すると平然と笑顔でそう返した。
裕太君……そんな笑顔で即答しないで……。
課長は、こちらを見るなりげんなりした表情になった。
「宮下。お前……」
「す、すみません……」
もう恥ずかしさのあまり謝るしかなかった。
そんなまたか?みたいな顔で見ないで。
何が言いたいのか言わなくても分かる。
しかし課長のお母様は、まぁまぁと目をキラキラさせていた。
「まぁ従業員全員イケメンばかりなの?
一体どんなお店なのかしら。お勧めとかあるの?」
意外にも興味を持ってくれた。
さすが女性と言ったところか。
どう説明したら分かってもらえるだろうかと考える。
下手な説明をしたら、ここに居る家族をドン引きしまいかねない……。
すると裕太君は、ハイハイと手を挙げてきた。
「それなら俺が説明するよ。お店では、ランク分けをしているんだよ。
上からAランク。Bランク。Cランクとなっているんだ。
Aランクは、最高ランクでエリートイケメン。
Bランクは、中間クラスの普通のイケメン。
Cランクは、最下位の雰囲気イケメンって感じで……」
ゆ、裕太君がご丁寧に詳しく説明しなくてもいいのよ!?
ちゃんとシステムを理解してくれてるのは、嬉しいけど……。
説明が全て終わると裕太君以外は、硬直していた。
そりゃあ……引くわよね。実際。