返事をすると入ってきたのは、裕太君だった。
そういえば裕太君は、課長の甥っ子だったわね。
 そうなると裕太君の自宅に行くってことになるのかしら?
お兄さんが実家で同居しているってことは……?

「あら、裕太君。どうしたの?」

「あのですね。菜々子さんは、誠叔父さんの元部下だと以前教えてもらったので。
 一応報告とお願いがありまして……」

「報告……?」

「はい。実は……最近叔父さんに恋人が出来たと判明しました。
 しかも明日その彼女さんが家に挨拶に来るみたいなんです!
俺……凄く嬉しくて。それで、明日シフト変更してもらいたくて。その彼女さんに会いたいんです!」

 シフト変更して欲しいとのお願いだった。
興奮気味に言っているところを見ると相当嬉しいようだった。
 ごめん、裕太君は……それ私です!

「それは、別に構わないけど……。
あ、あのね……その彼女さんなんだけど……」

 さすがに申し訳ないのとこれ以上隠す訳にもいかず、私は、裕太君に自分が彼女だと告げた。
 すると凄く驚いた顔をされる。それもそうだろう。
きっと若いお姉さんや綺麗な女性を想像していたに違いない。

「えぇっ!?誠叔父さんの彼女って……菜々子さんだったんですか?」

「う、うん。ごめんね……私が彼女で」

「いえ。それは、全然構いません。
そんなことより……えっ?付き合いだしたのは、最近ですよね?
どちらから告白をしたんですか!?」

「えっと……本当に最近なんだけど。
告白は、課長……あなたの叔父さんからなの」

 興奮気味に質問をしてくる裕太君にモジモジしながら答える。
 改めて自分の事を言うのは、恥ずかしい。
引いていないみたいだから……良かったけど。
 すると裕太君は、満面な笑顔で……。

「俺、叔父さんのことすげぇ尊敬していて、彼女が居ると分かった時は、めっちゃ嬉しかったんです。
 それが、もう1人尊敬している菜々子さんだなんて、余計に嬉しいです!」と言ってくれた。