美郷さんの授業は滞りなく終わった。

私は美郷さんからのお礼ということで、とあるカフェでシフォンケーキをご馳走になっていた。


「短時間であそこまで修正するとはさすがです」

「いやいや~、それほどでも~。ってかさぁ、由紗ちゃん、なんか最近素直になったよね。自分の気持ちをちゃんと言うようになったっていうかさ~」

「そーっすか。元からこんなんだと思いますけど」

「そんなこと無いわよ~。前はね、こう...すべてを諦めてるみたいな顔してたけど、今は違う。

目がキラキラしててちゃんと希望を持って生きてる感じがする。

やっぱりそれはさ、福祉部での経験あってのもんだと思うよ。

特にね~、あ、の、こ」


あ。

これは、まずい。

美郷さんがニヤニヤしだしたということは、

詮索モードオンだ。

私はごくごくとコーヒーを飲み、耳栓をしたかのごとく、聞いていないふりを始めた。