「おいっ」

「う...」


寝ていたはずなのに、当たった場所は分かるようで、額を押さえていた。


「ふわぁ。あのー、痛いんすけど」

「あのな、言っとくけど、お前から先に始めたんだからな」

「それとこれとは別っすよ。そもそも男子の方が力強いんすから、手加減してください」

「手加減したら、またやっても良いと、そういうことか?」

「は?そんなこと、言ってません」

「いや、今のは完全にそういうことだ。ってことで、よろしくな」

「はー?」


殴られそうになったが、その前にオレはおにぎりを出した。

久遠のお気に入りの昆布だ。

たまたま残っていたから貰えた。

ラッキーだったな。


「これで気を引く気っすか?狡猾なやつっすねー」

「なんとでも言え」


オレの気持ちはもう変わらないから。