「立てるか?」


ワンコが私の顔を覗き込んでくる。


「立てますし、歩けます」

「けど...」

「大丈夫っす。この通りピンピンしてるんで。あーでも、万が一にもふらっと来たらその時はよろしくっす」

「了解」


私はワンコの半歩後ろを歩き、駐輪場まで着いていった。

だが、そこで気付いた。

私、この前椎名さんに注意されたんでした。

ってことは、このまま乗っていくのはルール違反だ。

今さらだが、断ろう。

前を行くワンコの背中に向かって叫ぶ。