......おも。


ワンコが私に抱きついた。

ぎゅうっとされて息が出来なくなるほどに苦しい。

あはは。

これも部員同士の戯れ?

なわけ、ないっすよねー。


「あのー、一体何度目っすか?あなたの欲の捌け口にされても困るんすがー」

「違う。そんなんじゃない。そんなんでオレが...オレがこんなこと、するわけない」


耳元で囁かれるワンコの声が妙に安心感を与える。

徐々に徐々に、その温もりで心に張り付いた分厚い氷が溶けていく。

もう、いいんだって言っている。

叫べ、と言っている。

泣け、と言っている。

仕方ない。

素直になってみますか。

私は口を開いた。