6曲目のサビのあたりで料理が到着した。


「遅くなってごめんね。わたし普段料理しないから勝手が分からなくて遅くなっちゃった」

「いやいや、全然大丈夫。作ってくれてありがとう」

「作ってはないんだ。けど、レンチン頑張った」

「そ、そう。でもまぁ、レンチンも調理のうちだよ。羽依に感謝して、頂きます」


オレは1時間後に2度目の夕食を食べた。

正直、味など分からない。

とにかく残さぬよう夢中で食べ、羽依に元気そうで良かったと言われたのだけは記憶に残った。

これ以上食えないくらい満腹になった後、オレはちらっとキッチンの上を見た。

パックが散乱し、せっかくさっき久遠が綺麗にしてくれていたのに、目も当てられない様子になっていた。


「ん?」

「あぁ、何でもない。お腹いっぱいになったし、布団に戻るね」

「うん、分かった。じゃあ、わたしはさっくんが眠るまでここにいるね。発作とか起こったら大変だし」

「ありがとう」


とは言ったものの、1人になりたかった。

さすがに2人も家に呼ぶと心労が募る。

しかも1人はカノジョだ。

気を遣うに決まってるだろ。

.........ん?

オレ...羽依に気を遣ってるのか?

言いたいこと、言えてないのか?

1度疑念に囚われると考えて眠れなくなるのは分かっていたが、考えるしかなかった。

なぜなら、それは羽依と付き合い始めて初めて感じた違和感だったから。