「久遠」

「へい」


コップをきゅっきゅと布巾で拭き上げ、ワンコの元へ向かう。


「今度はなんすか?」

「いや、その...ありがとな。急に呼んだのにここまでしてくれて。後でお礼...」

「なら、スイーツビュッフェに連れてって下さい。私、ずっと行きたかったんすよー。池袋にある、スイーツ天国!ガチ目にお願いします!」

「あ、あぁ。じゃあ、それで」


おお。

神様遂にこの時が来たんすね。

ワンコが連れてってくれるらしいっす。

っしゃー!


「そんな嬉しいのか?」

「嬉しいに決まってますよ!あのスイ天すよ、スイ天!2000円で90分スイーツアンドフルーツ食べ放題は幸せっしょ!」


あ。

ヤバ。

病人の前でテンション爆上げしてしまった。

私は頭を下げた。


「うるさくしました。ごめんなさいっす」


そう言うと、ワンコは肩を震わせ、笑い始めた。


「はははっ。...ゲホッゲホッ。はは。マジ面白い。こんな面白いやついるかよ。はぁはぁ、あ~おもしれ~」


そんなに面白いか?

ってか、私でこんな笑うのはワンコくらいしかいない。

ツボ浅すぎだな。