まず始めに私は冷蔵庫の残りものをあさり、冷飯でお粥を作った。

お母様が料理を良くされているのが分かる冷蔵庫で、ワンコのためにと作りおきしてある野菜のお浸しや煮物がタッパーに入っていた。

それを食べやすいように刻み、小鉢に盛り、お盆に乗せてワンコの枕元まで運んだ。


「はい、出来ましたよー」

「早いな」

「当たり前っす。早く食べて薬を飲んで良く眠って頂かないと治りませんから。ってことで、はい、どーぞ」


私はお粥を突き付けた。

ご主人様が犬にエサをやるようだなと思い、少し笑いそうになったが、病人の前だし、堪えた。


「ありがと。じゃあ、頂きます」


手を合わせて食べるあたり、やはりお母様の教育が良くなされているのが分かる。

こういう1つ1つの何気ない行動で育った環境が良く分かると母は良く言っていた。

思い出すとやはり苦しいが、こうして良い面が見えたのなら、良かったと思おう。


「ふーふーふー」

「猫舌っすか?」

「あー」

「確かにラーメンご一緒した時もしばらくふーふーしてましたもんね?」

「猫舌で悪かったな」

「いえ、別に。私には関係ありませんので」

「あっそ」


なんてぶつぶつ言いながらも、ワンコはお粥を口に運んだ。

果たして判定はいかに。