――ピンポーン。


ワンコの家は戸建てではないが、私の家よりは遥かに綺麗な集合住宅の一室だった。


「おーい、ワンコさーん。開けて下さーい」


そう言った直後、ガチャリと音がし、中からワンコが顔を覗かせた。


「大丈夫っすか?」

「大丈夫なわけねぇだろ。この格好見えてるだろ。ゲホッゲホッ」


うわ、最悪。

こやつもしやインフルでは?

疑いの目を向けたが、証拠もないのに差別してはならない。

仕方がないので、目一杯手洗いうがいをすることにし、上がらせてもらおう。


「すみません、あがります」

「頼む...」