「私は医者は目指してません。私の夢は心が豊かな人を増やして幸せを感じやすくする世界を作ることっす。

小さなことでも幸せを感じられれば文句や愚痴も少なくなるはずっす。
そうなれば世界は明るくなります。
皆が希望に満ちた顔で過ごせる世界になります。

その世界を作る一員になれればと思ってるんす。だから、行くとしたら心理学部とかっすかね」


私の言葉にワンコは手を叩いた。


「やっぱカッケー。久遠には一生かけても敵わねーな」

「そうっすね。そんな簡単に越えられても困るっす。私、一応部長なんで」

「ほんと、久遠が部長なのは納得だ。適任だよ」


そこまで誉められるとさすがに照れる。

私はポリフェノール補給のココアをガブガブと飲んで、頬が緩むのを阻止した。


「そんながぶ飲みして大丈夫か?」

「大丈夫っす。ココア大好きなんで」

「いや、そういうことじゃなくて...」

「いいから真面目に勉強してください。無駄な時間を過ごさない」

「はいはい。分かったよ」


忠告が効いたのか、ワンコはその後真面目にまた勉強を再開した。

もちろん私も課題とテスト勉強を黙々と進め、帰りはワンコ号に乗って帰った。

これが御恩と奉公だ。

なんて思って半ば活動自粛期間もそこそこに楽しんでいたのだが、遂に異変が起きた。