「オレはお前みたいになりたい」


へ?

ぽかんと開いた口が塞がらない。


「久遠はさ、男女強弱問わず誰にでも手を差し伸べる。

そういう優しくて温かくて強いやつになりたい。

皆が理想とするヒーローみたいな。そういう人間を目指す」

「あのー、厨二病っすか?そんな人この世には...」

「いるんだよ。オレの目の前に。

それは久遠。お前だ。

自覚してないみたいだが、お前めっちゃカッコいいよ。

少なくともオレが今まで出逢ってきた誰よりも」

「そうっすか...」


カッコいいんだ、私...。

ちゃんと目指すところに近付いているのだろうか。

まぁ、誉められたのだから、とりあえずありがたく受け取っておくが。


「ってか、こんな恥ずかしいこと言わせんなよ。次、久遠の番だ」


顔を真っ赤にして目を反らし、ぼそぼそとつぶやくワンコ。

そんなに恥ずかしいなら私の名前を出さなくても良かったのに。

ひとまずそれはおいといて、自分の話をするとしますか。