ワンコの手がすーっとマグカップに伸びた。

今日はポリフェノールたっぷりのココアを淹れた。

ワンコは甘くしないと飲めないらしく、砂糖を大さじ2加え、激甘に仕上げた。


「あまっ」

「どんどん脳に糖分を送りましょーってことっす」

「だからってこれはねーだろ。ったく、話す内容忘れちまったよ」


何を言ってるんだか。

こんな数秒で忘れるわけないっしょ。


「ごまかさないで下さい。あなたの将来のことっす」

「はいはい。分かってるよ」

「分かってるならちゃっちゃと話してください」


ワンコは幸せが逃げていくような大きなため息を1つ付き、それから話し出した。


「本人の前で言うのもナンだが...」


は?

本人って、私?

ってか、私しかいないか。

で、何?