「ルナは見た目通りだな」

「はい。甘いものには目がなくて。でも、辛いのも好きなんですよ」

「へ~、そうなんだ。でも今日は甘いもので行こうと」

「なんとなく、スイーツが見たくなったので...」

「そっか。じゃあ、今日は思う存分スイーツを食べよう。で、何にする?」


オレはメニューを広げ、ルナの前に出した。

だが、ルナは一向に選ぼうとしない。


「ルナ、どうした?食べないのか?」

「いえ、せっかく来たんですし、食べます。けど...」


ピカピカに磨かれたテーブルにコップの周りに付いている水滴より生ぬるいものが落ちた。


「ルナ...」


ルナはその大きな瞳に大粒の感情の結晶を溜め込んでいる。

ここから推測出来ることは山ほどある。

けれど、簡単に口にして良いものではない。

オレはメニューを閉じ、ルナが口を開くのを拳を握りしめて待った。