美郷先生が立ち上がる。

私に近づき、そっと抱き締めた。

ふわっと香る甘い香りはまさに先生の人柄そのものだ。

鼻の奥がつんとし、目の奥が熱を帯びる。

やめてくれ。

全部、

全部全部、

やめてくれ。

止まってくれ、

戻ってくれ、

時間。

私が過ごしてきた、

過ちだらけの時間を全て

止めてくれ。

止まれ。

止まれ...

止まれ......