「ワタシ達は間違っていたのかもしれないわね」


先生がボソリとそう呟いた。

その瞬間、私の心に張り付いていた氷のように繊細なガラスにパリっとヒビが入った。

それは小さな刹那的な痛みだが、じわじわと全身を蝕んでいく。

先生は続ける。


「いじめを未然に防ぐことが本来の目的だけど、ワタシ達はもう起こっていることをなんとかしようとしてしまった。

それも確かに正しいことね。

けど、それをゼロにはしてはいけなかった。

認めた上で改善すべきだったんだわ。

ワタシなんかは特に自分の評価に響くからといって綺麗に清算したと言われても仕方がない。

つまり、ワタシは教師失格なのよ」