「なんすか？」


仕事が終わりそうな頃にちょうど電話が鳴った。

合流したばかりのにゃんにゃんが顔を近づけてくる。


「あ、分かりましたぁ。その顔はワンコ先輩だ」

「当たりっす」


私がそう言うと、


「当たりってなんだよ？」


怒ったような口調のワンコの声が聞こえてきた。

ったく、何を怒ってんだか。

こっちが配慮してデートに専念できるようにしたのに、鉢合わせするのが悪いんすよ。


「あのー、今日のことなら大丈夫っす。色々な意味で大丈夫っすから。

ワンコのこと仲間外れにしたわけでもないっすし、ワンコがいなくてもやれましたから。

それにこのワンコキーホルダーのお陰で今年は平和に見回りを終えることができましたし、ワンコには感謝しかないっすよ。

あざーっす」


と言うだけ言って切ろうとすると、耳を疑う音が聞こえてきた。

このズズッは......。