「ねえ、さっくん」

「何?」

「さっくんさぁ、最近なんか楽しそうだよね。今年から入部した部活が面白いの?」

「あぁ、いや、まぁ、それなりに...」


オレ、そんな楽しそうにしてたか?

まぁ、確かに楽しくないと言ったら嘘になる。

皆個性的だけど良いヤツだし、やっている活動も誰かのために自分が動いている感じがあって、オレが活動する意味や目的が明確で生きてる心地がするんだよな。

それが楽しさっていうか、充実感に繋がっているのかもしれない。


「わたしも入りたいなぁ」

「えっ?」


羽依が上目遣いでこっちを見てくる。

心臓がドクンと跳ねた。


「そしたらさっくんと一緒にいられる時間長くなるから」

「そ、そうだな」

「でも、テニス部が疎かになっちゃいけないから止めとくね」

「そ、そそ、そうだな」


そうだな、しか言えてない。

何、きょどってるんだよ、オレ。

今、めちゃくちゃカッコ悪いぞ。

しっかりしろ。

オレは拳で右股を1発叩いた。