私が押さえつけていたはずの指先は、あっという間に恋人のように繋ぎ合わされていた。

どうやっても抗えない魅力を持った人がいる。


「まだ、身体がつめたい」

「あ、ついです」

「まだ、だめ」


もう、のぼせてしまいそうなのに、遼雅さんは丁寧に私の指先を握って、口元に寄せては口づけたり、舐めたり、かじったりしている。

いつもこうやって、同じように身体中に火をつけられるのに、何度見ても慣れない光景だった。


「りょうがさ、ん、あ、つい……っ」


必死に逃げようとしているのに、遼雅さんの手に捕まえられたら、どこにも逃げ場なんてない。

広いベッドにしようと言って、大きなものを買ったはずなのに、限界まで身体を近づけて放してくれない。


「だめだよ。まだ、どろどろになるまでしないと、つめたくなってしまうかもしれないから」

「な、らない、から……、ぁ」


愛されていると錯覚してしまうから、こまる。

恨めしい目で見つめたら、こまったような、愛らしいものをめでるような顔をした人が、指先へのキスをやめて抱きしめてくれる。

その腕の中がすきだ。

すごく、すきだ。もう、どこよりも安心できる場になってしまった。だからまずい。