「さて」

 ちょっと、……かなり情熱的な運動をしたから、途中でシャワーを使った。
 でも一人では入らせてもらえなくて。

『Ich werde dich waschen(洗ってあげるよ)』
『Gut(大丈夫)』
『Bitte, ich möchte einen geliebten Menschen berühren
(お願いだ、愛おしい人に触れていたいんだよ)』
 
『あっ、
 Nein, Nate.(だめ、ネイト)……っ』
『Fühle mich ehrlich.(素直に感じて)』
 
 ……くったりしたところを、彼に抱き上げられたところまでは覚えている。
 あああああ!
 
「それ以上、思い出しちゃだめだってばっ!」

 しばらく、ベッドの上で悶えてしまった。
 こういうときは深呼吸。
 ふー、ふううううう。
 何度か深く息を吸って長く吐いて、を繰り返すと恥ずかしさの境地から浮上することが出来た。

「ベタベタはしてない、けど」

 色褪せた夢の中に置き去りにされた気分。

 ネイトに出逢った瞬間から、目覚めてすぐに隣で寝ているはずの(ひと)を探してしまった時間まで。
 彼にまつわる全てを、洗い流してしまいたい。