どうやら私が宿泊費を払うのは決定だから、室内のアメニティを使う権利はある。
 でも。

「何時かな」 
 
  時計を確認すれば、もう少ししたら町が本格的に目覚める頃合いだった。
 日曜日だけど、一大商業地に建つこのホテルには観光客以外の訪れも多い。
 
 しわくちゃのドレス。
 昨日身につけていた下着。
 はげてしまったメイクに、グシャグシャな髪。とりつくろってもあきらかに情事帰りとバレる。
 人通りが少ないうちに帰ったほうがいい。

「撤収っと。さっさと出て、気持ちのいい自分の部屋でのんびりしよう」

 勤務地は都心にあるけど実家は郊外なので、私は一人暮らしをしている。

 着替え終わって、化粧を手早く直す。
 外したアクセサリーを置いたベッドサイドまで行って気がついた。