俺は誰かと付き合えるほど余裕のある御身分じゃない。


俺は生まれながらの天才ってわけじゃない。


学年一位をキープするために、普段からかなり努力しているし、兄弟が多いから家に帰ってからもなにかとやることが多い。


ただでさえ忙しいのにその上バイトもしている。


俺には1分1秒たりとも余分な時間はない。


それ以前に女子と付き合うとかってあまり興味がないんだが……。


そういうわけで、ここは悪いけど断るしかないか。


彼女を見れば緊張したように頬を引きつらせている。


この子がどうこうってわけじゃない。


仕方ないんだ、友人くらいならまだしもいきなり付き合うとか到底考えられないし。


断ろう、


ってそう思ったその時。


ガチャッと生徒指導室のドアが開き、中から河井先生が顔を出した。


ゲッやばいぞ、さっきの今でこの状況は非常にまずい。