「ほら、毎朝正門前で俺のことを待ち伏せ、いや待ってたみたいだからさ」


彼女の要件を聞いてあげようとしたんだけどポカンと口をあけている。


なんだか、間抜けな表情。


もしかして、ちょっと鈍い子なんだろうか。


困ったな、なんだか石のように固まって微動だにしないぞ。


まったく上流階級のお嬢さまと話すのってこんなに調子が狂うもんなのか。


「あのさ、その手に持ってる手紙みたいなのって俺に渡すつもりじゃなかったの?」


「あ、あっ、そうです」


鷹月花は、ハッとしたように目を見開いた。


さっきはどこかへ意識が、トリップしていたんだろうか。変なやつだな。


早く手紙を受け取って、はいさようならしよう。


返事は後日ってことにしたらしばらくは時間稼ぎが、できるだろう。


だけど、彼女は顔を真っ赤にしてモジモジするばかり。