そう思ったら急に彼への申し訳なさで一杯になって目の前が暗くなった。


「……さあどうだろ。それだけじゃないかもしれないし。俺のことが気に喰わないだけかもな」


彼は立ち止まって、心配そうにのぞき込んできた。


私が落ち込み過ぎないようにそんな風に言ってくれたんだってすぐにわかった。


「河井のことなんて、気にすることないよな。俺たちは俺たちで今まで通りでいよう」


「で、でも……」


どうしよう、もしこのことで彼に迷惑が掛かってしまったら。


彼の特待生という立場的に困ったことになったりしないかな。


ふといろんな最悪な状況が頭をよぎってしまう。


学園の中で私は昔から特別扱いされてきた。


そのことで私以外の人が傷ついたり不利になってしまったことだってこれまでに全くなかったとは言いきれない。