ゲッ、何回もって、それはさすがに聞き捨てならないぞ。


しかしここで俺がなにか反応したら拓海の思う壺なので涼しい顔をしていた。


「やめてったら。千景くんの前でそんなこと言うなんてひどいよっ」


だけど、花は瞳に涙をいっぱい浮かべていて。


それを見た瞬間、フツフツと言いようのない怒りが湧いてきた。


これはさすがに腹が立つ。


こんなくだらないことで彼女を傷つけるなんて。


拓海をぶっ飛ばすか、蹴飛ばすかしてやろうと思いベンチから立ち上がった。


「拓海くんのバカッ、嫌い」


すると彼女が両手で顔を覆って校舎の方へ駆け出す。


「おい、花」


「花、ごめんよ」


拓海が彼女を追いかけようとするから急いで捕まえた。


「おまえは追いかけなくていい」


「な、なんだよ、離せよ」