部屋に入り、凌久先輩と目が合った瞬間に
「泣いたの?」
と
聞かれ…
私は、我慢していた緊張や不安が解けて凌久先輩の前で泣いてしまった。
止めたいのに…
止めたい時こそ、止まってくれない涙。
どうすればいいんだろう…
私は手で顔を覆って、必死に泣き止もうとしていると凌久先輩は何も言わずに抱きしめてくれていた。
どこまでも、優しい人だね。
『凌久先輩が…』
「先輩って呼ぶな」
『無理だよ』
「無理って言ってるから無理なんだよ」
『じゃ、呼ばない』
「なんでやねん」
『凌久…くんって呼ぶ』
「先輩よりはいい」
『私がなかなか答えを出さないから…嫌いになって、いなくなったのかと思った』
「そんなすぐ嫌いにならないよ」
『わがまますぎて、来月には嫌いになると思う』
「来月が楽しみだな」
と、
凌久くんはいつもの笑顔を見せてくれた。
私まで泣いてたのが嘘かと思うくらい笑顔になっていた。