時間はあっという間だった。
帰る前に、私たちは最後に観覧車に乗った。
『凄い、高い』
「子どもみたいだな、本当」
『子どもでごめん』
「可愛いからいいんじゃん?」
と、
なぜか他人事みたいに言う凌久。
その後の凌久は、ずっと外を見て…何かに黄昏ている様子だった。
『また来たいね』
「また来れるといいな」
『帰りたくないな』
「凛、渡したいものあるからうちに来て」
『何?』
「言えない」
今日は、私の誕生日でもないし…私たちが付き合った記念日でもないし…何だろう。
凌久の家に帰るまで、疑問しかなかった。