「凛からキスして」

『無理』


と、

即答すると凌久くんは笑っていた。





大笑いされても、何しても無理なものは無理。



凌久くんにされるだけでもドキドキなのに…

自分からするなんて、一生無理な気がする。





「それか、凌久って呼んで」

『凌久』

「ずっとな」

『何で、そんな意地悪なの?』

「凛よりは優しいと思うよ」

『凌久って呼ぶ。けど、私の凌久はアシカの凌久だからね!』

「アシカじゃねぇんだけど」

『それでもいいんでしょ?』

「凌久くんよりはまだいい」

『凌久くんがそんな嫌なの?』

「母ちゃんみたいじゃん」

『そうですか…』




と、

言ってる間にまたキスされた。




何回も何回もされるけど…やっぱり慣れる気がしない。



私は、

『お風呂入って、ご飯食べたい』



言って…お風呂に逃げた。




「いいよ、一緒に入る?」

『1人で入りたい』




お風呂も一緒に、講義も一緒に、ずっと一緒にいたいと思う日が来るのだろうか。



いや、

私には来ないと思う…


お風呂くらいはのんびり1人で入りたいと思ってしまう私は恋人失格だろうか。