『トイレ行ってくる』
「うん」
凄い苦痛に感じる時間だった。
多分、それは凌久くんもだったと思う。
本当にトイレに行きたくて来たけど…自分を落ち着かせるためでもあった。
せっかく、初めて来た水族館がもう来たくない場所になりそう…
来る前は、
想像だけでも楽しかったのに…
『お待たせしました』
「アシカちゃん見に行こう」
『うん』
既にアシカの鳴き声が聞こえた。
私は、凌久くんを待つことなく走ってアシカちゃんの元へ向かった。
『髭が長いね』
「ねぇ、凛見て」
『リク!同じ名前』
「よろしくね」
『写真撮ってあげる、並んで』
「全然嬉しくないんだけど」
と、
言いながらも良い笑顔でピースしてくれた。
可愛いじゃん。
何だか、悔しいけど…愛おしく感じた。