『空は清々しいほどに晴れているのに、どうして私の心はいっつも曇り空なんだろう』
指一つで言葉を打つと、誰にも届くはずのない仮想空間へ投げ込んだ。
なんの躊躇いもない。だって誰かが見るわけじゃないから。
コメントなんて期待してないし、"いいね"なんか欲しくもない。
べつに誰かに見つけてもらうために始めたわけじゃないのだから。
二人のようにキラキラした世界を共有したいわけじゃない。そんなものはただの見栄で、自分をよく見せたいとか、あの人よりは優位に立ちたいとか、周りから評価されたいがためだけにしているに過ぎない。
今までだって毎日のように投稿してきた。
けれど、それにコメントも"いいね"もつくはずがなかった。
でも、それで構わないのだ。
私が私を見失わないために、心が潰れないために、今日もいい子でいるために、そのために私だけの世界が必要なのだ。
誰かに見てもらいたいだとか、誰かと繋がりたいとか、そんなつもりは一切ない。
苦しい心を毎日、仮想空間に指先一つで投げ込むの。
どこにも繋がらない、繋がりを持たない、ただただ私のためだけの居場所。
それが猫を被る私の大事なルーティンだ。
これがなければ、私は本来の自分を見失ってしまいそうになるからだ。