ええと、その場合は、

透さんと同じ高校に通っております、桜田未来と申します…。

と、自己紹介の文言を頭で繰り返していると、インターフォンが繋がる音がして。


ひい。

怯えて耳を澄ませていると。


「…はい」


…よかった。

聞こえてきた声は、会長の声だった。


少しこもったその声は、確かに熱っぽい。


「あの、会長…」

「どちら様?」

「あ!えっと、あの、桜田です…!」


必死にそう言うと、インターフォンからくすくす笑う声が聞こえてきて。


なんで笑うの?!


「見えてるから。カメラ付いてるから」


言ってよ…!

ていうか、見えてるなら、どちら様?とか聞かないでよ…!


「入ってすぐ、エレベーターあるから」


言われてすぐに、目の前の自動ドアが開いて。


オートロック、すごいな、


なんて思いながら、私はマンションの中に入った。