バイト先から、流奈さんが送ってきてくれた会長の住所まで直行する。


荷物を肩に掛けなおして最寄りのバス停を降りると、スマホのマップを開いた。


ここから、徒歩5分…。

夏の西日に照らされて、マップを見ながら歩くと。


閑静な住宅街の中の、高層マンションに到着した。


マンション名を確認すると、会長の住所と合致している。


…さすが、会長っていうかなんていうか。

こんな綺麗なマンションに、住んでるんだな…。


私は暴れる心臓を押さえつけて、マンションのエントランスをくぐる。


シックな雰囲気のロビーに設置された機械に、会長の家の部屋番号を入力すると。


インターフォンの呼び出し音が鳴った。

誰も見ていないのに、私はぴんと背を伸ばして直立してしまう。


お家の人が出たらどうしよう。