小西さんのときは
恐怖で、力が出せなかった。
それがカイくん相手だと
「またキミに怖い思いさせちゃったから」
力が……入らない。
抜けていく。
「なぐさめてあげなきゃなあ」
「……へ?」
キャラじゃないです。
カイくんは、わたしをイジメて喜べるひとでしょ。
「なにして欲しい」
「な……なにも」
「キスかハグ。どっちがいい?」
そ、そんなこと選ばせないでください。
キスできるわけないし。
ハグは、恥ずかしいけど
キスよりは難易度が低い……
いや、ここで流されていいの?
「ど、どっちも結構です!」
「あれー。キミなら。"キスは恥ずかしいけど。ハグなら"って考えると思ったのに」
よまれてる。
「前まで僕の質問には、どちらかを選ばなきゃって考えていたのに。いつのまに。拒否なんて覚えてんの?」
「えっ……」
「いーよ。べつに僕は。キミにキスもハグもしたくないし」
「……!?」
「喜ぶかなって思っただけで。ご褒美いらないなら」