「小西さんの"常識"や"日常"を変えられていれば……生徒たちから慕われる、いい先生になれたでしょうか」
「無理でしょ」
「……!」
「怪物は所詮、怪物さ。野放しになんてしちゃあいけない。無駄な期待もね」
もっとはやく出会えていても
結果は変えられなかった……?
「あやうく犯されかけて。家に何台もカメラ仕込んでたキモい男。よく擁護できんね」
「……そりゃあ。信じられないことされましたが」
今でも、恐ろしい人だと思います。
「お人好し通り越して――頭おかしいんじゃない? 小西のことかばってもキミになんの得もないし。キミのこと小西が一途に想ったりはしない」
「かばってるわけじゃ。ないです」
一途に想われたいとも、考えていません。
「ただ。小西さんは、勉強教えるのが本当に上手です。お話も……。誰かを幸せにする力を、持っているんです」