たしかにわたしは他の生徒のように、小西さんの思い通りになったわけじゃない。


だけど、見えていないものが多すぎた。


「小西のこと"娘をいい学校へ入れてくれる救世主"だって盲信しておいて。正体がわかった途端"我が子を傷物にした悪魔"呼ばわりした親の中には」


相手を知ろうとせずに理解した気でいるのは、あまりにも無責任なことだ。


だからといって

最初から疑いの目を向けるのも、悲しい。


「娘がどんな目にあってるか、気づいてなかった人もいた。僕らが教えるまではね」

「物音とか話し声で、わからなかったんですかね」

「小西の用意周到さはキミも知ってるよね」

「……あ」