素直にならなくては。


LINEにて

「お前、今から勉強?」既読
「そーだけど?」既読
「えらいなー俺無理。やる気が出ない。」既読
「川瀬ー明日定期テストだよ?」既読
「分かってるよー。出来ないもんは出来ないの。」既読
「じゃ、勝手にしてください。」既読
「ひどい、、この俺を見捨てるなんて!」既読
「はあ😩しょうがない。何がわかんないの?」既読
いつものパターン。川瀬は頭が悪い。だからいっつも私に頼ってくる。いい加減、勉強すればいいのに。
「まじ?岡部神。感謝!!」既読
「はいはい。」既読
「教科書3ページの問4。。。です。」既読
「3ページ!?今日何ページやったか知ってる?146ページだよ?」既読
「、、、わかんないとこ教えてくれるって言ったの、お前だし、、、」既読
「わかった。解き方がわかんないの?」既読
「うん。」既読
「dの式aに当てはめて、カッコを使えばいいんだよ。」既読
「あーなるほどね。(棒読み」既読
「分かったのね?じゃあさ、この問題解いてみて。」
「鬼ババア👹」既読 
「🖕🏻👎🏻👋🏻」既読






翌日  学校にて

「おっはよーー」元気よく挨拶をしたのは親友のあっちゃん、今井飛鳥。「おはよ。朝から元気だねー。」と私はいって、席に着こうとした。「ちょっとまって。川瀬から、昨日なんか来なかった?」え、、「い、いや、何も。」知っている。あっちゃんは川瀬のことが好き。わたしは、応援すると去年の秋に約束してしまった。「川瀬って女子と全くLINEとかしないんだって。私も、初めの頃は毎日おはようとか送ってたんだけど、既読スルーか、うんで会話終了でさー」「そ、そうなんだ。」親友の好きな人だった川瀬の情報を探れと言われていたわたしは、川瀬と話す機会が圧倒的に多かった。でもそれは、親友のため。川瀬はなにも知らない。川瀬からしたら、なんで俺に話しかけてくるんだろうって気になったのだろう。
川瀬が教室に入ってくるなり、私の方に近づいて来て耳元でこう言った。
「昨日はごめんな。思ってないから。」川瀬が顔を赤くしながら。耐えられずわたしは、
「べ、別に、、」とだけ言って教室から出て行った。そう、私は川瀬が好きだ。そして、川瀬も多分私が好きだ。自惚れてなんかない。確信が持てる。豊富ではない恋愛経験だがあの分かりやすい態度、他の女子には滅多にLINEなんかしてこないというあっちゃんの話、多分私は両思い。でも、さすがにあっちゃんを裏切るわけにはいかないし、それがここ最近の悩みだ。あっちゃん、ごめんね。

3時間目 体育 
「今日は、運動場でリレーする。チームは黒板の通りだ。女子も着替えたら、運動場集合な。」

更衣室にて 
「川瀬って足速いよねー。」とあっちゃん。「そうだね。あっちゃんおんなじチームだったじゃん。よかったね!」全然思ってない。むしろ羨ましい。川瀬の事を好きな女子はかぞえきれなくらいいる。みんな川瀬を応援するから私なんて気付かれもしない。

用意スタート!第一走者が走り始めた。赤が少しリード。その後に青、黄、緑、と続いている。
私はテキトーにキープして走った。今の順は青、赤黄緑だ。あ、、あっちゃん転けた!川瀬と同じで青だった、次々にぬかされていく。次はアンカー。川瀬だ。その時川瀬が私の方に来た。え?なに?

「俺が1位になったら付き合って?」

返事をする間もなく、走って行った。
川瀬が走る、走る、速い。先頭との距離3メートル位。黄、緑を抜かした!行ける!勝てる!
その時、急にあっちゃんの顔が頭に浮かんだ。勝ったらダメ。勝ったら、勝ってしまったら。。。。



いえーーーーーーーーーーーーーーーイ!!!歓声と共にはっとした。そうだ。川瀬。
「川瀬!川瀬!川瀬!」そうか、かったんだ。嬉しいはずなのに、、涙が出てくるのはなぜだろう。止まらない。

「岡部!俺勝ったよ!」

川瀬、、、

「ていう事で、俺と岡部は付き合うことにしました!」

川瀬、、、、、、、え?今なんて?

「うっそーーー。」「マジ?」「賭けてたの?」「おめでとう㊗️」
色んな声が聞こえてくる。あっちゃんは今の聴いてた?あっちゃん、今どんな気持ちだろう。私居なくなればいいって思ってる。絶対。

              私    最低だ。
嫌悪感でわたしは気づいたら走ってた。どこでもいいから今人に会いたくなかった。あっちゃんになんて言われるだろう。なんて思われただろう。最低、死ね、消えて、裏切り、カス、人間の恥、、、、マイナスは言葉しか出てこない。そうだ、わたしは最悪な最低な事をしてしまった。ねえお願い、時間、戻って。ねえおねがい。

倉庫の裏。誰も居ない。静かな所。もう、きっと4時間目始まってるだろう。でも、いいや。戻りたくない。今日はこのまま帰っちゃおうかな。もう、なんにも考えたくない。




「なあ!おい!岡部!」


え?「川瀬?」

「なんで逃げたんだよ。」ああ、そうだ。川瀬にだって、私なんにも言わずに逃げたんだ。

私ってつくづく最低。本当最低だ。そう思うと涙が出てきた。

「なんで泣くんだよ。俺の方が泣きたい。恥ずかしかったんだからな?俺。あんなに自信満々で言っておいて、お前逃げたから、振られたとか言われて。」
「、、ごめん、私最低、もう何も関わらないで。人を不幸にするだけだから。」
「はあ?何言ってんだよ。お前のせいで、俺お前のこと、、、好きになっちゃったんだぞ?」
え、、?ヤバイ。顔絶対私赤い。見られたくない。
「それにまだフラれてねーし。へんじは?」
「、、、、」
言えない。好きだなんて言えない。口が裂けても。でも嫌いとも言えない。口が裂けても。
「何があった?今井か?」
「ち、違う。違うし。。」
「俺さ、正直両想いだと思ってた。」
「え、、」
「いや、違ったら、恥ずかしいんだけど、」
「、。、。」
「まあ、違ったみてーだな。ごめん。俺、諦めるわ。ありがと。」
「、、」待って。なんで言えないの?あっちゃん?あの子はあの子。わたしはわたし。知ってる。分かってる。じゃ、言えないのはなんで?
「待って!」
川瀬が振り向いた。
「ごめん、素直になれなくて。私も好きだ!」
「バーカ。」と言って、私の方へ来て、抱きしめた。
「ほんとにごめん。川瀬のこともあっちゃんのことも両方大事だからなんて言えばいいかわかんない。付き合うとか、そういう話になればわたしは、あっちゃんと今の関係でいられなくなるかもしれない。」
「一つ思ったんだけどさ、今井とお前ってそんな薄っぺらい関係なの?」
「っ、、、、、、、、」そうだ。そうだ。わたしとあっちゃんはそんな薄っぺらい関係じゃない!
「ありがとう!川瀬。返事は必ずする。それまでちょっとだけまってて!」
「おう!」


今の勢いで言わないと絶対いろいろ悩んで言わない。だから、勢いに任せる!

            「あっちゃん!!」
「亜乃、、」
「ごめん。どうしても今伝えたいことがある。私はね、」
「まって。知ってるよ。私気付いてた。」
「え?」
「私のせいで2人が付き合えないとかなったら、わたし後悔するじゃん?それに、男なんて川瀬くんだけゃないしさ!」
「、、、、、」
「行ってきな!川瀬の所に!」
「、、うん!!!」
ありがとうあっちゃん、ありがとう川瀬。なんでこんな簡単なことに気付けなかったんだろう。
「亜乃ーーー走れーーー!!」

全力で走った。川瀬の元に。ちゃんと気持ちを伝えるために。

「川瀬!」