ある夜のこと。 ママは、弟の習いごとのお迎えからまだ帰ってきていなくて、お姉ちゃんは部屋でお勉強をしていた。 「ムー、おいでー!」 わたしが手招きをすると、ムーは青い首輪の鈴をシャラシャラ鳴らしてやってきた。 「ママ、帰ってくるの遅いねえ」 わたしは、ムーのちいさな頭を撫でながら言った。 そのあと、わたしも自分の部屋に行ってピアノの練習をした。