「入学式早々遅刻とは何事だ!」
一樹は、トラックのおじさんに送ってもらったおかげで、入学式過ぎにはなんとか間に合ったものの、遅刻には変わりなかった。
一樹は、適当に先生の言葉をかわすと、教室に向かう。
「だっせー。一樹、初日から呼び出しかよ!!」
教室に入ると、いきなり豪が茶化してきた。
神崎豪とは、2ヶ月前に一樹が交渉しに行った族の番長である。
知り合いがバイトしているコンビニにいつもたまっている族だった。
だが、話しているうちに気があってきて、今のような仲になった。
「うるせー!言い返せないのが悲しいじゃねえか!!」
「ぎゃはははww」
豪が族の長だからか、それとも一樹が遅刻をしてきたからか、どちらが原因かは分からないが、この日一日ですっかり学校中に知れ渡ってしまった二人であった。