5人は別に一樹たちを助けてやろうと思っていたわけでもない。

むしろその逆で、ボコボコになっている一樹と裕二をバカにしてやろうと思っていたらしい。

ひどい奴等である。

だが、その思いが叶う事はなかった。

一樹たちがボコボコにされていなかったからである。




 「いやぁーーまさかミチ兄ぃがここの番長してるなんてなぁ~」




 「世界って狭いね」




 「俺もびびったよ。噂は聞いていたが、まさかお前等だったとはな・・」




それ以前に、仲良く話してすらいる。




 「なぁ・・お前のダチって何者?」




潤也が思わずそうつぶやくほど仲がよさそうだった。

まぁ、それも当然といえば当然なのだ。

ミチ兄ぃこと満田進二の両親と一樹の両親は幼馴染で、昔は映画館にも連れて行ってくれるほど仲が良かったのだし、一樹が男装して学校にいくことも知っているのだ。

2人はそれほど信頼できる仲だった。

が、5人にそんなことが分かるはずもなく、口をあんぐり開けて呆然としている。

当然といえば当然なのだが、傍から見ると思わず笑えてくる光景だ。