「映画館でみんなあんな風に映画を楽しむのね!みんなと一緒に観るってとても面白い!」

「おいしい!クレープって初めて食べたわ」

「カラオケって楽しいのね!また行ってみたい」

奏多にとっては当たり前の遊ぶ場所ひとつひとつに、愛華はとても喜んでくれる。そんな愛華にいつしか奏多は恋心を抱くようになった。しかし、自分と彼女では立場が違いすぎると諦め、想いは心の奥に隠し続ける。

そんな中、高校二年生のバレンタインの日、奏多は愛華に呼び出された。そしてクラスメートが好きな人に渡していた一流ショコラティエが作ったチョコレートではなく、手作りのハートの型抜きチョコを渡される。

「私、ずっと前から奏多くんが好きです。私とお付き合いしてくれませんか?」

顔を真っ赤にしながら言われ、奏多は「こんな俺でいいの?」と訊ねる。奏多はお金持ちの息子ではなく、スポーツはできるが成績は普通だ。愛華に相応しい人ではない。